2026年現在、注文住宅を建てるにはなかなか厳しい環境です。
ナフサショックによる建材・住宅設備への影響、原材料費や物流費の高騰、相次ぐ値上げ。住宅ローン金利も上がっています。
国土交通省も2026年4月、中東情勢を受け、石油やナフサを原料とする一部の住宅建材・設備について価格上昇や安定調達への懸念を住宅業界に通知しました。
LIXILも2026年8月からトイレ・浴室を平均13%程度、キッチンを平均10%程度値上げ。住宅サッシやインテリア建材、エクステリアなども価格改定が予定されています。
さらに日銀は2026年6月、政策金利を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げましたし、9月にはさらなる利上げも予想されています。
こんな時期に家を建てるのか。
それでも我が家が注文住宅を選んだのは、「今が買い時だから」ではありません。高いことも金利が上がっていることも承知したうえで、賃貸では解決しにくい問題が増えてきたからです。
もともとは、かなりの賃貸派だった
我が家は「いつか絶対にマイホームを建てたい」なんて夢、ありませんでした。
大きな住宅ローンを抱えれば、住む場所や働き方の自由度も下がります。
建物は年数とともに価値が下がりますし、土地の価値も読めません。「家を買えば資産になる」というほど単純な話でもありません。
賃貸で住居費を抑え、その差額を長期間運用する。経済合理性だけを考えればこっちのほうが絶対に有利だと思っていました。
しかし、考えが変わったのは、家族が増えてきてから。
家族4人で住みたい賃貸を探すと、思ったほど安くない
夫婦だけなら、賃貸で特に困っていませんでした。
ところが家族が増えると、住まいに求める条件も増えます。
子ども部屋まで考えれば、ある程度の広さと部屋数が欲しい。ものも増えるので収納も欲しい。学校や習い事、買い物のことを考えると、便利な地域から大きく離れたくもない。地方なので車も夫婦ふたり分必要。
こうして条件を積み上げていくと、候補になる賃貸がかなり少なくなりました。あったとしても、結構高い。
もちろん、同じ地域なら持ち家のほうが高くなると思います。
それでも「自分たちの条件に合う賃貸」と「自分たちの条件に合う家」を比べると、賃貸だから圧倒的に安いという状況ではありませんでした。
地方で「車2台+玄関前」はかなり大きい
我が家にとって、大きかったのが駐車場問題。
地方で暮らしていると、夫婦それぞれに車はほぼ必須です。通勤はもちろんのこと、買い物、子どもの送迎、習い事にも使います。都会みたいに電車・バスが5分に1本来るような環境ではないのです。
ところが地方中心部の賃貸やマンションで「車2台」を条件に入れると、一気に選択肢が減ります。というか、もはやないに等しい。
基本は1台分。平置きならまだ良いほうで、タワーパーキングがほとんど。さらに2台目は少し離れた月極駐車場を探すケースが多くを占めます。
となると、月3万以上は駐車場台でかかってくる。35年で余裕の1000万超え。OMG…
さらに子どもが生まれると、家から駐車場までの距離も気になるようになりました。
雨の日に子どもを抱えて買い物袋を運ぶ。車の中で寝てしまった子を抱えて家まで戻る。
数十メートル程度でも、毎日のことになると地味に面倒です。
戸建てなら土地選びの段階から車2台を前提にでき、数歩で家の中に入れる。
こういう小さな負担を毎日減らせることには、コストは払うべきだと考えています。
子どもの生活音を毎日気にするのもしんどい
子どもがいると、マンションやアパートでは騒音も気になります。
自分自身マンション育ちでしたが、掲示板にはいつも騒音に対する苦情が貼られていました。そしてそれが自分の可能性があるだなんて夢にも思っていませんでした。
親になってわかる、子どもはうるさい生き物。そして制御することなんてできません。
親は騒ぐ子どもを毎回叱らなくていい、子どもは音を出して遊んでも怒られない。
親子ともにゆとりある生活を送ることができるのは、決して小さくないメリットだと考えました。
「家を買えば資産が残る」は理由にしなかった
持ち家派の意見としてよくあるのが、「家を買えば資産が残る」という話ですが、自分はこれをメリットだと思っていません。
建物は古くなりますし、土地も買えば必ず値上がりするわけではありません。人口が減り需要がなくなれば、売りたくても売れない土地になる可能性もあります。
土地選びでは将来の需要も多少意識しましたが、あくまで副次的なものです。
資産になるから家を買うのではなく、自分たちが長く暮らしたい場所を選び、結果として価値が残ればいい。
そのくらいに考えています。
ナフサショックが落ち着くまで待ったほうがいいのか
今、注文住宅を検討している人にとって悩ましいのがここだと思います。
でも、これに関しては99.9%、答えはNoです。
ナフサ価格が下がることと、住宅価格が以前の水準に戻ることは同じではありません。
住宅価格には樹脂や金属、住宅設備、人件費、物流費、土地代など、さまざまなコストが含まれています。
過去のウッドショックでも、木材価格がピークから落ち着いたからといって、住宅価格がそのまま以前の水準まで戻ったわけではありません。
一方で、「だから今が一番安い。急いで契約したほうがいい」とも思いません。
景気が悪化すれば住宅会社の値引きが増えるかもしれません。土地価格が下がる地域もあるでしょう。住宅ローン金利だって、今後どうなるかは分かりません。
つまり、注文住宅の底値を当てるのは無理です。
そして「待つ」ことにも、欲しかった土地が売れる、金利がさらに上がる、子どもが成長して家を一番使いたい時期が短くなる、といった機会損失があります。
我が家は数年後の住宅相場を当てるより、今の家族にとって家を建てる意味があるかを大事にすべきと考えます。
注文住宅だからできることもあった
もともと家づくりを始めた理由は、かなり現実的なものでした。
広さが欲しい。車を2台置きたい。子どもの生活音を気にしたくない。家事も楽にしたい。
ただ、実際に設計を進めると、それ以外にも注文住宅ならではの良さがありました。
洗濯をどうすれば楽にできるか。収納をどこに置けば散らかりにくいか。老後も暮らしやすい間取りは何か。子どもが大きくなったときに部屋をどう使うか。
これがめちゃくちゃおもしろい。
中には打ち合わせ疲れたみたいな意見も聞きますが、私は毎回楽しみでした。むしろ担当さんを疲れさせてたんじゃないかな。
注文住宅を推奨しているわけではない
ここまで書きましたが、注文住宅を誰にでもすすめるつもりはありません。
今の住宅価格は高く、住宅ローン金利も以前より上がっています。
転勤などで住む場所が変わる可能性が高い人、家族構成や住みたい地域がまだ決まっていない人、今の賃貸にほとんど不満がない人なら、急いで建てる必要はないと思います。
住宅ローンを組むことで家計の余裕がなくなるなら、なおさらです。
「これからまた値上げしますよ」と言われて焦って契約するような金額でもありません。
賃貸には、住む場所を変えやすい、修繕費を自分で負担しなくていいといった明確なメリットがあります。
持ち家か賃貸か、これに答えはありません。
「今が買い時か」ではなく「今、家が必要か」
ナフサショック、物価高、建築費の値上げ、住宅ローン金利の上昇。
注文住宅を検討していると、「今はやめたほうがいいのでは」と不安になる材料はいくらでも出てきます。
でも、来年住宅価格が下がるのか、金利がどうなるのか、ナフサショックがいつ落ち着くのか。そこを正確に予想することはできません。
それより、家を建てる前に一度考えたほうがいいと思うことがあります。
なぜ今の住まいではダメなのか。
ここを言葉にできないのであれば、値上げに焦って急いで家を建てる必要はないと思います。
逆に、今の住まいで困っていることが明確で、注文住宅ならそれを解決できる。無理のない資金計画も立てられる。
それなら、「もっと安くなるかもしれない」と何年も相場の底を待ち続ける必要もない。
我が家は「今が買い時か」ではなく、「今の自分たちに家が必要か」を考えて、家づくりを始めました。

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